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論説12「出汁の工夫」 伝統は護る必要はあるが、伝統を護りつつ別の工夫を別に設えて行かねば進歩はないと思う。また狭い範囲の知識では井の中の蛙となる。大阪出汁の深い部分を探求し、また様々な出汁を材料を探求し、より高いものを目指す努力は必要である。昆布、鰹に拘る必要はないし、イリコや椎茸、干瓢、大豆なども良い出汁を造る隠し味とはなるだろう。野菜も皆ある程度のアミノ酸をもち、アクを抜きつつそれらを組み合わせて最高のものを造る努力は必要である。 思うに現在の神戸の上級のうどん屋は讃岐の技法の影響下にあり、良い処を吸収して中々良い麺を現出している様には思われる。讃岐の上級には未だという論もあるが、讃岐の風土や雰囲気もあるだろうし、また技法のみならず、小麦の種類や漂白法その他に目を向けた方が良いのではないかと思う。 それはともかく、出汁に関しては今の神戸うどんの出汁は宜しくないと我は思う。もっともっと美味しい出汁が存在しうると主張したいのである。それだけの深いものが関西うどん文化にはある、かつては存在した事を宣言したいのである。これからも現状に満足せず、もっともっと工夫、研究のほどをお願いしたと思うのである。最高の出汁文化を現出したはずであり、再びのその出現を望みたい。
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