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論説1「麵の秘密」 色々なうどん屋を巡ってヤスモンうどんと高級うどんがある事はわかる。麵は茹でたてがやはり美味いと思うが立ち食いうどん屋ではそんな事もやってられない。勿論単に茹でた立てよりも少し寝かした方がよいという論もある。しかし素人には店が茹でたてを出しているのかそうではないのか、計算で寝かしを出すのか、それとも冷凍なのか、出されたもので判定するしかしかたがない(調理場を覗けば大体わかるが。しかし老舗店ではそれも不可である)。やはり基本的には茹でたての方が美味いと感じられる……。しかし色々めぐると単純にそれだけではないようである。讃岐うどん屋の名店が出す透明な生きた麵は単純に茹でたてというような簡単なものでもないようである。大阪系でも茹でててを出す店はあり、ある程度の美味しさはあったが、しかし総じて大阪系はやはり茹でたてといっても讃岐うどんがみせるような透明なうどんではなく、不透明な部分が残っている系が多い。どちらが美味しいとは他の条件もあり確言はしづらいが、しかしやはりどちらかと言えば軍配は讃岐系にあがりそうである。麵の美味しさは他の要素も多い関わっているのだろう。麵の打ち方、小麦の差異、水や塩加減。やはりそこには秘法があるように感じられる。それの秘法は讃岐の地で護られた。おそらくは空海の時代から……。最澄がその秘法を懇望したが、最後の秘法はついに明かさず、最澄と喧嘩別れした話は余りに著名である。だから京ですらその秘法は残らず、讃岐代々の秘伝となった。 逆に大阪では出汁の秘法を編み、超絶的な出汁秘伝文化を形成した。これは空海の時代にはなかった新たなる秘伝である。麵秘法と出汁秘法が讃岐と大阪に分かれた由縁である。現代では瀬戸と明石の大橋で両地が繋がりその両者の秘法が融合する可能性が生まれたわけである。両者を繋ぐ地として神戸があり、ここで超絶的な秘伝うどんが生まれて欲しいが残念ながら今は大阪秘伝は失われ讃岐系に押され気味である。
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