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論説3「練り」 追求すればするほど「讃岐」と「大阪」のうどんの差異は不明瞭になる。麵の差異、出汁の差異も傾向的なものであり、各店の個体差を考えると完全に分別する事は不能である。しかし讃岐を謳う店にこそ確かによい麵を出す店が多いようである。何か秘伝があるのかも知れないが、両者の差異は讃岐の方が練りが多く、熟成出来ているという感じだろうか。これは折り返しコネ法が念入りという事であり、故にこそ讃岐独特の腰が生まれる。その為の手打ちの手法も独特のものがある程度あるようであるが、しかしそれも結果論として明確な差異をもたらすというほどのものではない。また現代では寧ろ機械打ちの方が讃岐を謳う店といえども多いのではなかろうか。手打ちを謳っても全ての工程が手打ちという店は殆どないのではなかろうか。ともあれ讃岐のレベルの高い麵が実例としてあるのであるから大阪、神戸系のうどん屋も探求してより高いレベルを目指して欲しいと思う。そしてその技術はそれほどのものではなく、秘伝とするほどのものではないと我は思う。重要なものはその奥に流れる「なんかクウカイ」という「馳走」とするという「心」である。店の客の回転率を考えてて出来る商売ではない。しかし真の商売とは商売の心を超越した処にあり、そこに至れるかどうか、至るかどうかは各人各人の問題ではある。
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