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論説7「本当の最高峰」 現在のうどん屋の出汁は実際の処どの程度のレベルなのか? 神戸系のうどん屋は少しどうかと思うが、比較すれば現在では大阪系の方が上だろう。しかし現在の大阪に最高のものがあるかどうかは不明である。現在の処「てんま」あたりの出汁が一番よいかと思ったが、より上があるように思われる。昔、近くの神戸うどん、「ハッピーうどん屋」の出汁のレベルで他のうどん屋を判定していたのだが、かなり昔、30年ほど前、船場「松葉屋」のけつねうどんを食べて、これならば「ハッピー」の方が大分上かと思った事がある。味の記憶はいうのはかなりあやふやな部分(そして好みの問題もある)はあるが、この事実はかなり明確に覚えている。だから現在、大阪を回ってそれなりに神戸よりもかなり良質の出汁を味わう事が出来たが、まだ上があるように思われるのである。 昔より神戸系は明らかに味は落ちていると感じる(我はそう感じるが他の昔の人がどう思っているかは分からない)。そして大阪系も同じなのかどうか分からないが出汁の原材料の本質、内情も含めて40年前とはどこか違った処があるのではないかと思われる。それが我の単なる思い込みかどうかは今となっとは分からないし何とも調べようがない。古老のご意見など頂ければ幸であるのだけれど。 しかし先般大阪の老舗うどん屋のキツネうどんを食べてその味にはびっくり仰天した。この様なものを大阪味文化の至高として捉える今の大阪の文化人はいかがなものかと思うのである……(この点何かの勘違い、手違いであればよいのだけれど?)。 別の文化で例えれば武術系は40年前と今では比較にならないほど堕ちている。その内容は余りにも酷くて論評する気にもならない。 いま一つ例えれば現在の日本映画は全くみるに耐えない。殆どが余りにも低劣であり、この様なものを優れた日本文化の一端として絶賛する似非文化人がいる事は真に残念であり、日本の芸能文化をより貶めるものであると我は思う。 関西のうどん食文化がそこまでの変質を招いているとは流石に思えないが、全体を通じて日本人の「人間力」というものが極端に堕ちている事は紛れもなき事実であるのではなかろうか……。
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