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専門店 地元を探ると流石に神戸たこ焼き(だしタコ)を食べれる店はそれなりには散見される。ただ基本が「だしタコ焼き」でない店が多い事は気にかかる。昔の磯田はたこ焼き専門店(コンニャクなどの他の具の方が多く、たこ焼きではなく「コンニャク焼き」ではないかと云うクレームもあったが)であった事は注意しておきたい。色々回って神戸たこ焼きの専門店と言えるは「おふくろさん」と「味一」「吉元たこ焼き」くらいだろうか。「ひろちゃん」や「淡路屋」はお好み焼きその他も主力商品としている。しかしここら位は「神戸たこ焼き」の専門店と行ってよいかと思えるのである。 他の店は大阪式、明石式の中に神戸下町式の「だしタコ」も食べれると云う感じの店だろう。考えて見れば普通のたこ焼き屋でも出汁を備えるだけで神戸たこ焼きを提供することは容易であり、その方式の店が多く出来る為には神戸たこ焼きと云う方法論がもっと普遍化すれば良いかと思う。これは比較的容易な事であるかも知れない。 しかしそれはそれで良いとしても、そのような店のあり方ではなく、神戸出身の者としては神戸たこ焼きの専門店的なものも多く期待したとは思うのである。もちろん認知度の低い神戸たこ焼きオンリーで経営が出来ないと云う可能性は大きいので大阪式も備える事は良いかと思う。しかし基本ベースが「だしタコ」の店が出来ては欲しいのである。 食べ物と云うものには一種の拘りが必要であり、それが店側にも、そして客にもないとどんどん質が落ちて行く。 一般のたこ焼き屋が出汁を備えただけで「神戸たこ焼き」になると云う立場は間違いではないが少し物足りない。神戸たこ焼きの誇りに掛けてレベルの高い出汁も研究して欲しいし、かけ出汁に合うたこ焼きの生地も研究して頂きたい。そして他ではまねの出来ないレベルの味を現出してこそ一つの文化と言えるかとは思うのである。 かつての大阪や神戸の上方うどんは正に他がまねの出来ない超絶的な秘伝法をあみ、高い食文化を保持してきた。現在それが殆ど失伝状態と云う問題点はあるが、極一部ではあるが、何とかその秘法は受け継がれている。 神戸たこ焼きがそこ迄の高い文化を築けるかどうかが問題である。 かつてかくした高い位置まで上り詰めた事があっかどうかは別の問題であり、これは残念ながら今としては確認しようがない(我の余りに幼少期の頃であり、味の記憶が乏しくなっている)。だがもっともっと美味しい出汁の世界を作る事は研究の果てには出来るのではないかと思うのである。その為にも神戸たこ焼きと云うものをもっともっと認知させる必要があり、多くの店が出来て、そのような層の厚い中で互いに切磋しながら高い境地を目指す必要があろうかと思うのである。
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